食情報

低糖質食に挑戦すべき人はこの人!

 

これまでのブログで何度か、

低糖質食を取り上げています。

 

たとえば、低糖質ダイエットが

効果的な減量法というわけではなさそうだ、と紹介した

こちらの記事や

「低糖質と低脂質、ダイエット効果があるのはどっち?」

 

低糖質の食事を目指して、肉を食べ過ぎた結果、

おそらく飽和脂肪酸の摂取量が増えてしまい、

血清LDLコレステロールの値が高くなるといった実例を紹介した

こちらの記事などです。

「低糖質ダイエットで高コレステロール血症に?」

 

いずれも、低糖質にしたからといって、

特別な健康効果は得られていないし、

注意しないとむしろ悪化することもあり得るというふうに

ご紹介しています。

 

それでは、

「低糖質食は意味がない」かというと、

そうは思いません。

 

どんな食品や食事法も、

それ自体を「良い」「悪い」と判断するものではなくて、

場面によって、必要なときには取り入れ、

不要なときには避けるべき、というのが、

私がみなさんにずっとお伝えしているメッセージです!

 

それでは、低糖質食をお勧めしたい人は

どんな人かと言いますと…

 

図1を根拠に考えてみます。

 

 

こちらは、炭水化物を同じエネルギー量の脂質に食べ替えたときの

血中の中性脂肪の濃度変化です。

 

不飽和脂肪酸でも、飽和脂肪酸に替えても

中性脂肪が下がっています(文献1)。

 

中性脂肪が高い人にとっては、中性脂肪を下げるために、

炭水化物を控えて、その分を脂質で補うような

低糖質食をお勧めするのがよさそうです。

 

つまり、低糖質食に挑戦するとよい人は、の答えは

血中の中性脂肪の高い人、でした!

 

食事指導の場面では、

このアドバイスだけでは具体性に乏しいですから、

もっと目の前の患者さんにとって具体性のあるアドバイスを

提供したいところですね。

 

その患者さんの炭水化物源となっている食品をつきとめ、

その食品を控えるように伝えるほうがよいですし、

代わりに摂取する食品を提案するには、

血中コレステロール値は高くないか、などの

他の健康状態も考慮しながら、

その場合には、お肉をもう少し食べてよいなど、

具体的にアドバイスすると効果が高そうです。

 

食情報って、こんなふうに、

その情報を活用して効果的な場面かどうか

その情報をどう活用すると効果的なのか

慎重に考えながら活用するものだと思います。

 

本やインターネットで紹介されている

「この食品や食事法が効果的」といった食情報は、

このままでは一部の人や一部の場面にしか応用できない情報なのですが、

魅力的に、強く発信されていると、

どんな人でも常に当てはまるような錯覚に陥ってしまいますね。

 

どんな人にも効果的な食品や食事法はないこと、

食情報をどう活用するかを考えるのは難しいことを、

なんとかもっと多くの人に知ってほしいと思います。

 

※この記事で使われた図は、佐々木敏著「栄養データはこう読む!」(女子栄養大学出版部)第1章-4を参考にしています。

 

【参考文献】

  1. Mensink RP et al. Arterioscler Thromb1992; 12: 911-9.

 

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