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低糖質ダイエットで高コレステロール血症に?

 

今日も、先日のバターコーヒーに続き、

健診の現場で実際にあった、

LDLコレステロールの値が上昇した、というお話です。

 

今回、その原因として考えられたのは、

低糖質ダイエット。

 

ある栄養士さんは、

「低糖質ダイエットに挑戦している」という患者さんが何人も、

血清LDLコレステロールの値が高くなっているという状況を

目にしたそうです。

 

その患者さんたちいわく、

糖質の摂取を抑えれば肉は好きなだけ食べてもよい、と聞いたので

そのようにしているとのこと。

 

そのような食生活によって、

糖質を含む炭水化物の摂取量が減り、

飽和脂肪酸の摂取量が増えていることが

考えられます。

 

炭水化物から摂取していたエネルギーを

飽和脂肪酸から摂取すると

血清の総コレステロールとLDLコレステロール濃度は上昇することが

研究で示されています(図1、文献1)。

 

肉を好きなだけ食べてしまえば

エネルギーの摂りすぎで肥満につながり、

それがコレステロールを上昇させますし(文献2)、

たとえエネルギーを摂りすぎなくても、

飽和脂肪酸が血中のコレステロール値に

悪い影響を与えてしまいます。

 

けれども、低糖質ダイエットを勧める本の中には、

この食事法が魅力的に感じられるように、

そして簡単に実践できると感じられるように、

細かい説明はせずに、

主食を控えて、肉は食べたいだけ食べてよいと

説明しているものがあるようですね。

 

食事のアドバイスって、本当に難しいです。

何かを食べ増やせば、別の何かが減ってしまうし、

何かを食べ減らせば、別の何かが増えてしまう。

 

だからこそ、

ある食品を食べましょう、だけではなくて、

その結果影響を受ける

食事のほかの面まで見据えて行われるのが

理想だなと思います。

 

たとえば今回のような場合、

血清コレステロール値が気になる人が低糖質ダイエットを実施する場合には

注意が必要であることを

食情報の発信に関わる人は

もっと伝えた方がよいのではないかと感じました。

 

※この記事で使われた図は、佐々木敏著「栄養データはこう読む!」(女子栄養大学出版部)第1章-2を参考にしています。

 

【参考文献】

  1. Mensink RP et al. Arterioscler Thromb1992; 12: 911-9.
  2. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準2015年版. 2014.

 

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