HERS M&S

栄養の実務・研究・教育の現場を栄養疫学でつなぐ

プロフィール

略歴

2004年 九州大学農学部生物資源環境学科卒業

2006年 九州大学大学院生物資源環境科学府生物機能科学専攻修了(農学修士)

2006-08年 農林水産省総合食料局消費流通課

2008-09年 内閣府食品安全委員会事務局評価課

2011年 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了(公衆衛生学修士)

2014年 東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修了(保健学博士)

2014-15年 国立環境研究所環境健康研究センター 特別研究員

2015-19年 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 特任助教

2019年よりHERS M&S代表

 

自己紹介

食事が原因で病気になる人をなくしたい

これは、大学生のころから今も変わらず持ち続けている、私の目標です。

その目標を叶えられるような研究者になりたいと、

大学の農学部で、機能性食品の研究ができる研究室に所属し、

栄養学の実験研究の手法を学びました。

その研究室では、主に、

がんやアレルギーを予防する食品成分の探索などを行っていました。

自分もいつか、

病気を治すことができる成分を発見して、多くの人を救うことができるかもしれない、

なんて夢を見たものです。

あまりに遠い…ヒトの健康に届くまで

所属した研究室では、細胞や動物を対象にした実験研究をしていました。

例えば、食品の成分をがん細胞の培養液に加えて培養すると、

がん細胞の増殖が抑制されるか、ということを観察します。

そして増殖が抑制されれば、

その食品成分はがんを予防する効果があるかもしれない、と考えることはできますが…

人の体の中でその現象と同じことが起こるかは分かりません。

むしろ、その食品を食べ、食品が消化され、成分が吸収されていく過程で、

その成分は分解されたり、濃度が薄まったり、排泄されたりするはずですから、

実験と同じようにがん細胞にその成分が到達して、

直接高濃度で、長時間作用するとは考えないほうが自然です。

実験研究って、あくまで単純化した結果しか得られないもので、

そこからすぐにヒトの健康のために役立つ情報は作り出せないものなんだな、

今後の研究のきっかけを作るための研究なんだな、ということが次第に分かってきました。

そんなある日、私が研究者を諦めようと思うきっかけになった出来事が起こります。

鮭茶漬けでがん予防?

ある学会で研究室の先輩が実施した研究が発表されました。

その内容は

「がん細胞に緑茶の成分を加えて培養すると、がん細胞の増殖が抑えられる、

さらにビタミンAを添加すると、より強い効果が見られる」

というものでした。

 

当時の研究結果は論文化されていないようで、

はっきりとした結果はうろ覚えなのですが、

結果を図示するとこんなイメージです(図1)。

 

 

その数日後、テレビの健康情報番組で、

「鮭茶漬けががんに効く!」

と、その研究結果をもとにして紹介されていました。

お茶漬けに使う緑茶の成分ががん細胞を抑制し、

さらに、鮭にはビタミンAが含まれているので、

一緒に食べるとより効果的なのだそうです。

まだ、細胞での実験研究の結果だけで、ヒトへの影響は全く検討もしていない状態なのに、

食情報はこうして作られているんだ!と衝撃を受けた瞬間でした。

研究者となっても人を健康にはできないかもしれないと考えた私は、

研究の道を離れる決断をします。

栄養疫学との出会い

研究者になるのを諦めて公務員として働いていたとき、

偶然、栄養疫学の専門家である佐々木敏先生の講演を聞く機会がありました。

栄養疫学とは、ヒト集団を対象にして、

実際にヒトが食事を食べたときにどのような影響があるのかを明らかにする学問です。

この講演では、一般的によく聞くような食事と健康の関連の情報に関して、

栄養疫学の研究結果に基づいた丁寧な説明がありました。

 

例えば、ワインは心筋梗塞を防ぐという研究結果に基づいた食情報があったとしても…

対象者はワインだけを飲んでいたわけではなく、他の食品も食べているため、

ワインと一緒に食べられることの多いほかの食品の影響もあるかもしれない。

栄養疫学の観点からはそのように考えることができる、

ということなどが紹介されたのを覚えています。

 

日常で活用できる食情報を作るためには、

実験研究だけではなく栄養疫学の研究が必要なこと、

栄養疫学の知識があれば食情報を正しく判断できるようになることを、

その講演で知りました。

そして、この栄養疫学を学びたいと思うようになりました。

栄養の実務と研究の懸け橋になりたい

幸い、栄養疫学を学べる課程(公衆衛生大学院)が東京大学に設置されたところで

佐々木敏先生の研究室もそこに所属していたことから、

そこで学び、その後博士課程を経て、栄養疫学の研究者となりました。

佐々木先生の開発された、

食習慣を評価するためのアセスメントツールである、

簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)の妥当性を検討した研究(研究業績1,2,9)は、

私の研究者人生の中で中心の仕事となりました。

そのほかにも論文も執筆し、

食情報のもとになる「科学的根拠」を作り出すことにも、

少しだけ貢献できたかなと思います。

とはいえ、「食事が原因で病気になる人をなくしたい」という目標の実現のためには、

1人の研究者として論文を執筆するだけでは不十分だという気がしてきました。

また研究者として働く中で、

栄養の実務を行う栄養士・管理栄養士の方、

ほかにも、医療や保健の現場で栄養業務に関わる方、食情報を扱う方々が、

栄養疫学を学ぶ必要性を感じていること、

にもかかわらず、学ぶ場がないと思っていることを知りました。

さらに、栄養疫学を専門にしていない研究者から、

研究手法をたずねられる機会も増えてきました。

今後は、そんな方々と一緒に、栄養疫学を学び、活用し、

その方たちが正しい食情報を発信していくお手伝いをすることが、

社会の健康づくりのために私ができることなのではないかと考えています。

 

このサイトを、食事を通した健康づくりに貢献したいと考えているみなさんが集い、

そのみなさんの思いを実現するためのサポートができる場にしたいと思っています。

そして、私自身は、栄養の実務、研究、教育をつなぐ役割を果たしていきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

研究業績

(第一著者のみ)

1. Kobayashi S, Murakami K, Sasaki S, Okubo H, Hirota N, Notsu A, Fukui M, Date C. Comparison of relative validity of food group intakes estimated by comprehensive and brief-type self-administered diet history questionnaires against 16 d dietary records in Japanese adults. Public Health Nutr 2011; 14: 1200-1211.

2. Kobayashi S, Honda S, Murakami K, Sasaki S, Okubo H, Hirota N, Notsu A, Fukui M, Date C. Both comprehensive and brief self-administered diet history questionnaires satisfactorily rank nutrient intakes in Japanese adults. J Epidemiol 2012; 22: 151-159.

3. Kobayashi S, Murakami K, Sasaki S, Uenishi K, Yamasaki M, Hayabuchi H, Goda T, Oka J, Baba K, Ohki K, Watanabe R, Sugiyamama Y. Dietary total antioxidant capacity from different assays in relation to serum C-reactive protein among young Japanese women. Nutr J 2012; 11: 91.

4. Kobayashi S, Asakura K, Suga H, Sasaki S, and the Three-generation Study of Women on Diets and Health Study Group. High protein intake is associated with low prevalence of frailty among old Japanese women: a multicenter cross-sectional study. Nutr J 2013; 12: 164.

5. Kobayashi S, Asakura K, Suga H, Sasaki S, and the Three-generation Study of Women on Diets and Health Study Group. Inverse association between dietary habits with high total antioxidant capacity and prevalence of frailty among elderly Japanese women: a multicenter cross-sectional study. J Nutr Health Aging 2014; 18: 827-839.

6. Kobayashi S, Asakura K, Suga H, Sasaki S. Cohabitational effect of grandparents on dietary intake among young Japanese women and their mothers living together. A multicenter cross-sectional study. Appetite 2015; 91: 287-297.

7. Kobayashi S, Asakura K, Suga H, Sasaki S, and the Three-generation Study of Women on Diets and Health Study Group. Living status and frequency of eating out-of-home foods in relation to nutritional adequacy in 4017 Japanese female dietetic students aged 18-20 years: a multicenter cross-sectional study. J Epidemiol 2017; 27: 287-293.

8. Kobayashi S, Suga H, Sasaki S, the Three-generation Study of Women on Diets and Health Study Group. Diet with a combination of high protein and high total antioxidant capacity is strongly associated with low prevalence of frailty among old Japanese women: a multicenter cross-sectional study. Nutr J 2017; 16: 29.

9. Kobayashi S, Yuan X, Sasaki S, Osawa Y, Hirata T, Abe Y, Takayama M, Arai Y, Masui Y, Ishizaki T. Relative validity of brief-type self-administered diet history questionnaire among very old Japanese aged 80 years and older. Public Health Nutr 2019; 22: 212-222.

 

業務実績

調査・研究・食情報コンサルティング

 株式会社リンクアンドコミュニケーション 研究実務支援(業務委託)

 一般社団法人Jミルク 食情報取り扱いアドバイザー

 A社(秘密保持契約締結中 社名非公開) 研究アドバイザー

コラム執筆

 一般社団法人FOOCOM

  食情報、栄養疫学で読み解く!

 

 生活協同組合コープこうべ商品検査センター機関紙「くろまと」 (Vol.69~76)

  Vol.76 2020年7月 夏号

  Vol.75 2020年4月 春号

  Vol.74 2020年1月 冬号

  Vol.73 2019年10月 秋号

  

 HEARTH NUDGE 専門家

 

 特定非営利活動法人HAP

  食事を考える生活コラム(01~07)

講演・講義

 本庄国際奨学財団 ワークショップ (2019年11月17日)

 食品ニューテクノロジー研究会 セミナー (2019年7月19日)

その他

 公益財団法人生協総合研究所

  客員研究員

  人生100年時代における健康づくり研究会 委員

 

 生活協同組合コープこうべ

  はかるたいせつPROJECT データ解析・プロジェクト実施支援

 

 他、各種団体の食育教材作成アドバイス など

 

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