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「タピオカミルクティーは太る!」の批判で見落としがちなこと

 

ある食品の悪い面だけを取り上げて

「食品○○は健康に悪い!」と批判するのは

簡単なことです。

 

けれども、食品に関しては、

事はそう簡単ではないことが往々にしてあります。

 

たとえば、最近人気のあるタピオカドリンク。

 

タピオカはキャッサバイモを原料に作られますから

炭水化物を豊富に含みます。

さらにドリンク部分には大量の砂糖が入っています。

 

このような理由から、

「タピオカドリンクの飲みすぎはエネルギーの摂りすぎになる、

飲み過ぎないように。」

という注意喚起がなされているのを目にしました。

 

けれども、この情報では

問題の一部を取り上げているにすぎないと感じます。

 

甘い飲み物(ソフトドリンク)をたくさん飲む人の

食事の特徴を調べたこの研究結果(図1、文献1)によると…

 

ソフトドリンクをたくさん飲む人はあまり飲まない人に比べて、

野菜、果物、大豆製品、魚介類などの

積極的にとりたい食品の摂取量が少なく、

反対に、油脂や菓子などの

摂りすぎに注意したい食品の摂取量が多くなっていることが

示されています。

 

その結果、栄養素の摂取量にも影響が出ていて、

ソフトドリンクをたくさん飲む人は

あまり飲まない人に比べて、

たんぱく質、カリウム、カルシウム、食物繊維などの栄養素の摂取量が

少なくなっていることが分かります。

 

この研究では、「たくさん飲む」といっても、

摂取量の一番多い人たちの摂取量は2日に1回程度です。

それでも、摂取量の一番少ない、2か月に1回程度の人たちに比べて

これだけ影響が出ています。

 

タピオカドリンクを含むソフトドリンクをたくさん飲むことは、

ドリンクそのものからエネルギーを摂りすぎてしまうだけではなく、

野菜、果物、魚介類といった

健康に好ましい影響を与える食品を食べる機会を奪ってしまうんですね。

 

タピオカドリンクそのものの欠点を取り上げて、

「エネルギーの摂りすぎで肥満を招く」という注意喚起だけではなくて、

ソフトドリンク全般の飲みすぎが

健康に好ましい食事をとりにくくなってしまうという

背後にある大きな問題点まで把握したうえでの注意喚起が

なされるようになるといいな、と思います。

 

 

※この記事は、佐々木敏著「栄養データはこう読む!」(女子栄養大学出版部)第3章-3を参考にしています。

 

 

【参考文献】

  1. Yamada M et al. J Am Diet Assoc 2008; 108: 1997-2004.

 

 

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