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高齢者よりも若年者こそ減塩!の理由

年をとって、すでに血圧が高くなってしまった人に、一生懸命減塩指導をしていませんか?

それよりも、まだ血圧が高くない若年者に、減塩の大切さを伝えてほしいです。

 

というのも、血圧は、どんな人でも、年齢とともに上昇します。

30歳代や40歳代のうちからも、直線的に徐々に上昇します。

決して、年をとってから上がるわけではないのです(文献1)。

 

そして、その血圧の上昇度は、食塩摂取量が多いほど、高くなります。

 

例えば、食塩摂取量が1日あたりおよそ7 gであれば、

1年間で血圧は0.4 mmHgくらい上がります。

一方、その2倍のおよそ14 gであれば、

1年間で血圧は0.8 mmHgくらい上がります(文献2)。

1年間の差は小さく感じるかもしれませんが、

これが30年間続けば、大きな違いです。

7 gの人は30年で12 mmHgの上昇、

14 gの人は30年で24 mmHgの上昇です。

 

それでは未来の血圧を予測してみましょう(図1)。

 

図1. 1日あたり食塩摂取量と血圧上昇の関係から予測する未来の血圧

たとえば、30歳で血圧が110 mmHgの人がいたとします。

14gの食塩摂取量を30年間続けると、

30年後の60歳のときは134 mmHgとなり、

すでに高血圧の範囲に入っています。

けれども、その半分の7 gを30年間続けていれば、

30年後は122 mmHgです。

60歳でも血圧は正常の範囲内です。

そのくらいの大きな差になるのです。

 

未来の血圧のことを考えると、

若いときから食塩を少なめに摂取しておくことが必要です。

若年者への減塩指導が高血圧予防に効果的な理由はここにあります。

 

すでに血圧が高いご高齢の方に一生懸命減塩食を勧めて、

もしその結果、おいしくないからと食が細くなってしまっては、

むしろ逆効果というときもあるかもしれません。

 

対象者さんの状況をよく把握して、

その都度適切な減塩指導を行っていきたいですね。

 

 

【参考文献】

  1. 厚生労働省. 第5次循環器疾患基礎調査. 2010. (1971年の値)
  2. Intersalt study group. BMJ 1988; 297: 319-28.

 

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