食事摂取基準2020年版を読む会

※現在こちらの講座は終了しています。

今後の食事摂取基準2025年版用の講座をお待ちください。

 

いつか、時間ができたら…。何度そう思ったことでしょう。

2020年4月。

厚生労働省が公表していて、5年に一度改定される

「日本人の食事摂取基準」の

2020年版の運用が始まりました。

 

栄養を業務にしている人にとって、

この改定は業務内容の変更にもつながる可能性がある

一大イベントですから、

毎回注目されているのではないかと思います。

 

いったい何が改定されたのか、

厚生労働省主催の研修会に参加し、

策定検討会の委員であった講師の先生方から

改定のポイントを学んだ方も

多くいらっしゃると思います。

 

けれども、その研修会での学びはほんの数時間。

そして、説明されたのは概要だけ。

 

講師の先生方の口から何度も飛び出したのは、

「あとは各自で本文を読んでください」

「大事なことは特に総論に書いてあるのでぜひ読んでください」

のお言葉。

 

さて、そのアドバイスどおり、本文、読めましたか?

 

なぜ、本文を読む必要があるのでしょうか?

それは、基準値の数値を確認するだけでは、

その基準値を正しく活用することができないからです。

 

例を挙げましょう。

 

たとえば、成人女性向けの貧血予防のコラムを執筆する場合、

あなたならどのように書きますか?

 

貧血予防には鉄の摂取が必要、

そのためにはレバーがお勧めです、

それだけで十分でしょうか?

 

レバーは鉄が豊富な食品といっても、

毎日の食事で少しずつ取り入れるのは難しそうです。

また、レバーが苦手な人もいるでしょう。

 

食事摂取基準の鉄の項の本文を読むと、

「日本人の鉄の主な給源は植物性食品である」と書かれています。

 

そうであれば、

比較的鉄を多く含む植物性食品である、

緑の濃い葉野菜や豆製品を

日常的に取り入れることを勧める方が

日々の食事から鉄を摂取しやすい改善方法となる可能性がありますから、

多くの人に役立つ食情報になり得ます。

 

一方で、

「成人女性の鉄の必要量は月経の有無、過多月経であるか否かによって

とても大きく異なる」

ことが本文で説明されています。

 

そして、

「過多月経の場合は通常の食品からの十分な鉄摂取は難しく、

その場合は医療機関で適切な鉄補給を受けるように」

と説明されています。

 

場合によっては食事の見直しよりも

医療機関にかかったほうが良い場合もあることを

知らせる必要がありそうです。

 

栄養の専門家だからといって、

食事のみで改善することには限界があることを

この本文中の記述で知り、

わきまえておかなければなりません。

 

 

また、たとえば、大災害が生じたときの

避難所での食事管理を任された場面を想定してください。

 

避難所に供給される食事は初期の段階では、

おにぎり、菓子パンといった、

エネルギー源となるものばかりだったとします。

 

それがもうしばらく続いても、脚気の生じる心配はないのか、

避難所の運営に関わる人たちから

専門家として尋ねられることになった場合、

どのように返答しましょうか?

 

そのときに供給されている食事中のビタミンB1の摂取量が

食事摂取基準の基準値を少し下回っていただけで、

ビタミンB1は不足している、脚気が生じるかもしれないと

サプリメントの手配を進めますか?

 

食事摂取基準のビタミンB1の項の本文を読むと、

ビタミンB1の推定平均必要量は

「脚気を予防するための量として設定されているわけではない」

ことが説明されています。

 

そして、脚気が出現するおそれのある量が

具体的にどのくらいの量かは、

基準値とは別に、本文中に記述されていますし、

「推定平均必要量を災害時の避難所の食事計画のために活用するには

注意が必要である」

と説明されています。

 

つまり、専門家としてすべきことは、

避難所でここ数日間に供給された食事のビタミンB1量を算出し、

その量が、推定平均必要量ではなく、

脚気が出現するおそれのある量と比べて

多いか、少ないかを調べることです。

 

 

これらの例から、基準値の値だけを暗記しても

実務の場面では十分に活用できないどころか、

誤った使い方をしてしまう可能性があることがわかります。

 

とにかく、本文こそ、大切なのです。

栄養を業務にする人は、本文を読んでおくことは必須です。

 

とはいえ、ひとりで読むのは困難がつきまとうでしょう。

食事摂取基準全文はおおよそ500ページあります。

そして、その内容を理解するためには、

栄養疫学、公衆栄養学といった分野の基礎知識や

データを読み取る力が必要な部分もあります。

 

そんな大物にたったひとりで挑むのは

けっこう難しいことですよね。

 

途中でわからないことがでてきたら、

どうせ最後まで読んでも分からないことばかりだ、

と思ってやめてしまったり、

 

ちゃんと調べて進もうとしても、

また時間があるときに、と思ったまま

手をつけられずじまいにしてしまったり、

 

さて、調べようと思っても、

どこで調べたらいいのか、わからなくて

結局そのまま途中であきらめてしまったりして、

 

過去の食事摂取基準の改定時にも

本文を読むことはできずにいませんでしたか?

 

もし、5年前がそうであれば、

今回は、そのときと「違う状況」を作らなければ

同じことを繰り返してしまう可能性は

大きいですよね。

 

ならば、環境を変えてみましょう。

ひとりでは読めないのは、

研究者をしている私だって同じでした。

 

それで、2015年版の食事摂取基準が公開された際には、

私たちは研究室のメンバーみんなで

本文を読む勉強会を開催したんです。

 

これはかなり好評でした。

 

仲間がいることで、

一緒に最後まで読むことができました。

 

さらに、分からないことが出てきたときには

お互い教え合うことができたし、

他の人の質問を聞いて、

自分が理解不足だった点に気づくこともできました。

 

仲間内で解決できない疑問は、もちろん

策定検討委員であった、佐々木敏先生に直接伺って

解決できました。

 

やはり学ぶためには

このような「環境」を整えることが

必要なんです。

 

一緒に読んでみましょう!

そのときの経験をもとに、今度はその環境を私が整え、

食事摂取基準を読んでおきたい、と決意した人たちのための

学びの場を作ることにしました。

 

それが、この、オンライン勉強会である、

「食事摂取基準2020年版を読む会」です。

 

勉強会の流れ

この勉強会は

オンライン通信講座の形式をとっています。

 

メールで資料を受信し、それを活用して

自分で食事摂取基準2020年版の本文全文を

読むことになります。

 

 

本文を読み始める前に、

各回のチェックポイントとその解説が記載された資料が

送られてきます。

 

具体例はこちらです。

第1回 チェックポイントと解説(一部抜粋)

 

このチェックポイントに従って、

自分で本文を読み進めます。

 

読み終えたら、

これまでに受講した人たちから寄せられた

質問とその回答を読みます。

自分も同じような疑問を持っていれば

これを読んで解決していきます。

 

また、過去の受講生が提出してくださった

課題も読みます。

 

これらを読むことで、さらに気づきを得たり、

食事摂取基準の新たな活用法が見えてきたりすることになるでしょう。

 

課題とQ&A集の具体例はこちらです。

第1回 みんなの提出課題(一部抜粋)

第1回 質問と回答(一部抜粋)

 

これらの資料を読んで、さらに疑問があれば、

質問をお送りください。

 

また、課題として、読んで新たに知ったことや、

活用法の提案、エピソードなどをお送りいただきます。

 

質問にはその都度お答えしていきます。

 

これで1回分が終了です。

基本的に1回分を2週間で進めます。

 

そして、本文全文を読むために

10回分の教材をご用意しています。

 

つまり、おおよそ5か月間で、

講座終了、全文読破!となります。

 

お送りするメールのペースにあわせて学習すると

このペースとなります。

 

一方で、お申し込み確認後、最初に、全教材をお送りしますので

ご自身のペースで進めて頂くこともできます。

 

 

全10回の内容は、以下のとおりです。

 

第1回 総論1,2

第2回 総論3,4,5

第3回 エネルギー

第4回 たんぱく質、脂質、炭水化物、エネルギー産生栄養素バランス

第5回 脂溶性ビタミン

第6回 水溶性ビタミン

第7回 多量ミネラル

第8回 微量ミネラル、水

第9回 対象特性

第10回 生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連

 

この勉強会のメリット

1.仲間と一緒に学べる

メール配信のペースで読み続けることができれば

最後まで必ず読むことができます。

 

そのペースで一緒に頑張っている人たちの

提出課題の内容や質問を読むことは、

とても励みになります。

 

過去の受講生からも、

他の人の質問と回答、活用の考えを知ることは

とても学びが大きかったと感想をいただいています。

 

2.栄養疫学の家庭教師を身近に置ける

その家庭教師とは、私、児林聡美のことです。

 

私はこの食事摂取基準2020年版の策定にも関わり、

資料集めのお手伝いなどをしながら、

完成までの道のりを見てきました。

 

私自身、理解不足で不明な点は、

策定検討委員でワーキンググループ座長であった佐々木敏先生にたずねながら

解決してきました。

 

こうして得てきた経験と知識を

学びたいと思われているみなさんの

お役に立てたいのです。

 

食事摂取基準に関わることはもちろん、

ときには、それとは少し離れるかなと思われる栄養疫学のことも、

大丈夫です、何でも質問してください。

 

大人数のセミナーなどでは、

なかなか質問しにくかったこと、

こんな基礎的なことを聞いてよいのかと迷うこともすべて、

今回の勉強会で解決していきましょう。

 

お一人お一人の、理解度、背景知識に合わせて

分かるように、丁寧にお答えしていきます。

 

決して、勉強していないあなたが悪い、なんて、思いません。

それはあなたのせいではなく、

多くの場合、これまでに栄養疫学の教育を受ける機会のなかった、

現在の教育システムに、問題があるのです。

 

だからこそ、この勉強会の機会を

うまく活用してください。

 

3.講座終了後も修了生と交流できる

この勉強会終了後も、

講座修了生とつながり、お互いに質問し合える

そんな場をご用意しています。

 

本文の内容を頭に入れても、

実際に栄養業務の場面での活用時に

困ることは、きっとでてくると思います。

 

そんな場合の質問に答えられるのは、

現場のことをあまり知らない私よりも

この講座を受講した仲間たちです。

 

このつながりをうまく活用できるように

コーディネートして参ります。

 

受講料

3万円(税込33,000円)

 

お申込み方法

※現在こちらの講座は新規受講を中止しています。

今後の食事摂取基準2025年版用の講座をお待ちください。

 

 

これまでの受講生からは非常に好意的な感想をいただいています。

食事摂取基準で押さえておくべきポイントをわかりやすく解説していただけ、細かな質問に対しても丁寧な回答、解説をしていただけました。

私は食事や栄養に関わる専門職の立場ではないこともあり、今回の講座がなければ食事摂取基準のすべてのページに目を通すことはなかったかもしれません。とても貴重な機会を提供、またサポートしていただきありがとうございました。

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毎回あらかじめチェックポイントと解説をつけてくださったおかげで、ただ読むだけにならず読み込むことができたと思います。

メールで、いつでも気兼ねなく質問できる環境を作ってくださったことが素敵でした。

また、みんなの質問を共有してくださったことで、自分ではわかっていなく見過ごしていた部分も理解を深めることができました。

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食事摂取基準を読む会を開いて頂きありがとうございました。

今までは数字しか見ておらず、改定されても変更点を少しみる程度でした。児林先生がこの会を開いてくださらなかったら、今でも食事摂取基準を読んでいなかったかもしれません。

初めて総論、各論を読み、数値が設定されている背景、まだ研究が不十分であるものが沢山あること、そして何より、科学根拠を十分にするのがいかに大変かということがわかった気がします。今後も何も知らず、数値だけなんとなく使用していたらと思うと少し怖いと思いました。

最初は読んでいても全く理解できず、周りの方の質問をみて焦っている日々でした。

勉強不足で初歩的な事もわからず、不躾な質問にも丁寧に答えていただきありがとうございました。

そんな児林先生だったからこそ最後まで続ける事ができたと思います。学べて光栄です。

私の周りのではあまり食事摂取基準を重要視していないように感じていますが、こういう講座がきっかけで栄養士の間でも疫学が広まればいいなと思います。私も広めたいです

短い間でしたがありがとうございました。また機会がありましたら学ばせていただきたいです。

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初めて全てを読むことができて自信になりました。

まだ頭にはしっかり入っていないので、何度も読み返す必要がありますが…。

でも今回、あの厚さの資料を読むことができたので、今後、ほかの資料も読んでみたいと思えるようになりました。

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このような網羅的な文献を最初から最後まで「読む」ことはあまりなく、全体は目を通す程度で必要な部分だけ「読む」ことが多いと思います。

今回は全体を「読む」きっかけとなりました。

課題で読む際のポイントが示されることと、その解説があることによって、興味のままに勝手に読むのではなく、読む際に意識すべきところが示されるのは価値があると思いました。

 

次に自信を持つのは、あなたの番です!

今度こそ、この分厚い食事摂取基準を読んだ自信を手に入れましょう。

ご参加をお待ちしています。

 

 

※現在こちらの講座は新規受講を中止しています。

 今後の食事摂取基準2025年版用の講座をお待ちください。

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