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栄養疫学を学べる研究室を残したい

 

前回のブログで、現在の日本で栄養疫学を学べる研究室は(私なりの定義によると)東京大学の佐々木敏教授の研究室である社会予防疫学分野のみであると述べました。

 

そして、社会予防疫学分野は2023年3月で、佐々木敏教授の退官に伴い閉じられる見込みです。

 

その後、日本で栄養疫学を学べる研究室は姿を消すことになります。

 

 

このことは、社会的に大きな損失だと思うのです。

 

たとえば、食事のガイドラインである日本人の食事摂取基準2020年版(文献1)の総論の第5講の5-1には、策定上の課題として以下のような記述があります。

 

…我が国における当該分野(※)の研究者の数とその質は、論文数の増加と食事摂取基準の策定に要求される能力に対応できておらず、近い将来、食事摂取基準の策定に支障を来すおそれが危惧される。当該分野における質の高い研究者を育成するための具体的な方策が早急に講じられなければならない。

※当該分野:食事摂取基準が参照すべき、人間栄養学、栄養疫学、公衆栄養学、予防栄養学

 

 

このように、栄養疫学分野の専門家は、社会の健康づくりのためにとても必要とされているのです。

 

それなのに、求められている質の高い栄養疫学分野の研究者を育成する場が今でもほとんどないうえに、唯一と思われる研究室も消滅しようとしている状況を、食事摂取基準を取りまとめた先生方は危惧しておられます。

 

 

さて、この状況に何か手を打てないものか、と思った私は、先日、佐々木教授に直接お会いして、相談をしてきました。

 

その中で、「寄付講座として東京大学に社会予防疫学分野研究室を残す」という方法があるかもしれないね、という案が出ました。

 

これは、どこかの団体(食品会社や栄養関連学部を持つ大学などを想定しています)から、研究室を運営する資金を寄付金として得て、研究室を存続させる方法です。

 

ひとつの研究室を作るには、目安としては、教授と助教を雇用するための費用や、必要に応じて研究費、研究室運営費、研究スタッフの雇用費用などがかかり、安くはありません。

 

その額を1団体のみで賄う必要はなくて、5団体くらいが500万円/年ずつ出していただくことでも研究室設立は可能なのだそうです。

 

また、寄付講座の教員には、東大の定年の規定に縛られない、例外規定を当てはめていただくこともできるようです。

 

 

寄付金提供団体のメリットとしては、社会予防疫学分野から、最新の栄養疫学の知識や教育機会を提供してもらえるということがあります。

 

もし寄付金提供団体が食品会社であれば、栄養疫学の専門家に通常よりも気兼ねなく相談することができます。

 

栄養関連学部を持つ大学であれば、学生を国内留学させて、栄養疫学分野の教育を担当してもらうことができます。

 

 

このような方法が実現すれば、栄養疫学を学べる研究室を今後も残すことができ、社会の健康づくりの様々な面に貢献できるのにね、という話をしてきました。

 

 

方法はきっとこれだけではないと思います。

 

ただ、私の思いは、栄養疫学を学べる研究室を日本にこれからも残したい、というものです。

他の方法をとってでも、このことが実現できないか、このあともずっと考え続けたいと思っています。

 

 

まずは社会に広く、私や佐々木教授の思いを知っていただき、色々なお知恵、ご意見、提案をいただけないかと思い、今回のブログ記事にしました。

 

どうか、この記事の内容が、寄付講座設立のための寄付金を提供したいと思ってくださる団体や、ほかに社会予防疫学分野を存続させるためのよい方法を思いつく方々に届きますように。

 

 

ちなみに、大学での学びはハードルが高いけれど、栄養疫学の基礎を学ぶ必要があると感じられている栄養業務に携わる方向けには、私のほうでオンライン講座を作成中です。

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【参考文献】

  1. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準2020年版. 2019.

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