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「栄養疫学を学べる場所はない」の理由

 

大学などの高等教育機関で専門的に「栄養疫学を学びたい」と思っている、社会人の方や、学生さんから、「どこで学ぶことができますか?」というおたずねをいただくことがあります。

 

今そのようなおたずねをいただいたとしても、私の回答は、「残念ながら、日本で栄養疫学を学べる場所はないんですよ。」となります。

 

この回答には批判をお持ちの方もいらっしゃると思います。

 

実際に「○○大学の△△先生は栄養疫学の研究論文を執筆していらっしゃるので、その先生から指導を受ければよいのではないですか?」という具体的なコメントをいただいたこともあります。

 

それでも、私なりの定義で「栄養疫学を学べる場所」を考えると、やはり「今のところ日本にはない」となるのです。

 

その理由を説明するために、私の考える「栄養疫学を学べる場所」の定義を説明します。

 

それには、以下の3つの条件を満たす必要があると考えるのです。

 

条件1:栄養疫学の調査方法論から介入研究にわたるすべての研究分野に精通している専門家から指導を受けられる。

条件2:栄養疫学を体系的に学ぶ機会がある。

条件3:周囲に同じく栄養疫学を学んでいる仲間がいる。

 

ひとつずつ見ていきます。

 

条件1:栄養疫学の調査方法論から介入研究にわたるすべての研究分野に精通している専門家から指導を受けられる。

 

前回のブログで、疫学研究にはいくつかの種類と、実施する順序があることを説明しました。

 

専門的に栄養疫学を学ぶのであれば、これらすべての種類の研究をある程度実施できる専門家になることを目指しているのだと考えます。

 

そうなるためには、それが実際にできる専門家から指導を受ける必要があると思います。

 

特に、研究の底辺で重要な分野である、栄養疫学の調査方法論や記述研究を、実際によく実施してきた専門家から指導を受けられることは、しっかりした基礎力が身に着くことになると感じます。

 

 

条件2:栄養疫学を体系的に学ぶ機会がある。

 

私が想定しているものは講義形式の授業ですが、形式にはこだわりません。

書籍などを読むことでも、よいかもしれません。

 

いずれにしても、栄養疫学の基礎的な知識を、広く全般的に学んでおくことは、栄養疫学分野の様々な情報を理解したり解釈したりするためには必要だと思います。

 

 

条件3:周囲に同じく栄養疫学を学んでいる仲間がいる。

 

ひとりで学ぶことには限界があり、知識には偏りもでる可能性があります。

 

そんなとき、隣の席にいる人の読んでいる論文を読ませてもらうことで新しい発見があったり、他の仲間の研究に関して相談している内容が雑談として耳に入ることで、自分の研究に新しいアイディアがわいたり、ということはよくあるものです。

 

こうして、仲間と学ぶことが、自分の独りよがりの学びに、様々な知識や考え方を付け加えてくれます。

 

これは私自身がとても重視していることです。

 

 

さて、この3つの条件を満たす場所を考えてみるのですが、私の出身研究室である、東京大学の社会予防疫学分野以外には、やはり日本には見当たりません。

 

網羅的に検索したり、調べたりしたわけではないので、調査不十分だとご指摘されるかもしれません。

 

けれども、もしそのような場で学んだ人がいらっしゃるのなら、学会などで出会ったり、執筆している論文で知ったりすることになるはずなのですが、今までにそのような方にはめぐり合っていません。

 

 

そして、日本で唯一、栄養疫学を学べる場所であった、東京大学社会予防疫学分野では、2023年3月に佐々木敏教授が退官されることから、今後の新入生を受け入れていません。

 

そのような状況から、私は「残念ながら、今は日本で栄養疫学を学べる場所はないんですよ。」と回答しています。

 

 

 

そして今、私はこのような状況を改善したいと思っています。

 

具体的には、栄養疫学を学べる講義を受講し、それを受講している他の人たちの疑問・質問やその回答をお互いに知ることのできるような仕組みを作れないかと模索中です。

 

 

その仕組みが出来上がりましたら、メルマガの読者さんには優先的にお伝えしていきます。

気になる方は、こちらの無料メールマガジンへ登録しておいてくださいね。

 

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